|
●学校給食は、本当にこれでいいのでしょうか?(『もっと変な給食』序文より転載)
私は、前著『変な給食』の出版企画の提案を出版社からされたとき、「この企画は絶対売れない。たぶん、自著の中で一番売れない本になるだろう」と担当の方に何度も伝えていました。学校給食という地味なテーマでは話題にならないし、そんなに売れることはないだろうと思っていたからです。ところがその予想は見事に裏切られました。出版後すぐに増刷を重ねることになり、また多くの読者ハガキや手紙が出版社に届きました。それと前後して新聞、雑誌、テレビの取材依頼が立て続けに舞い込み、それは今現在でも続いています。
また、ご意見だけでなく、「この給食をなんとかしてほしい」という熱い思いを綴ったお手紙とともに、新たな「変な給食」の献立表を送ってくださる方がたくさんいらっしゃいました。前著が売れたこと、反響が大きかったこと、そしてまだまだ「変な給食」が全国各地の学校で子どもたちに出されていることから、続編の出版が決まったのです。
そして、今回の本では、「変な給食」を県別に掲載しました。しかし、地方色など一切出ず、全国一律、今流行りの「B-1グランプリ」を狙っているとしか思えない献立が多く登場することになり、嘆かわしいかぎりです。
前著、『変な給食』に対しての反響としては、「びっくりした」、「あまりにもひどい」、「子どもたちがかわいそうだ」という意見がある一方、「どこが変なのかわからない。単にケチをつけているだけではないのか」、「食べられるだけでもありがたいと思うべきだ」という反論もありました。
今回、続編を出すにあたり、改めて本書の意図を確認させていただきたいと思います。献立がおかしい、あるいはおかしくないという前に、ここに紹介した献立は、ファストフードやファミリーレストランなど飲食店で出されているメニューではなく、教育の現場で出されている食事であるということです。
飲食店で「変」な献立があったら、食べなければいいだけの話ですし、学校給食も本来は自由選択制です。絶対に食べなければならないわけではありません。実際に、お子さんに食物アレルギーがあるために、弁当を持参させている方もいます。あるいは、給食があまりにもひどくて食べられないために弁当を持参しているお子さんもいます。
私の子どもの場合も、あまりにも給食がひどかったために、小学校の何年間かは弁当を持たせました。しかし、学校は集団生活を学ぶ場でもあると思います。私は、弁当持参が子どもの精神的な負担にならないか、いつも心配していました。今でも、それが良かったのか悩むことがあります。
しかも、私たちの時代ほどではありませんが、給食を食べ残したりすると叱ったり、強制的に食べさせる教員が今でもいます。そこまででなくとも、「残さず食べましょう」と言っているはずです。したがって、現実には、子どもたちは給食を強制的に食べさせられているのです。それにもかかわらず、ハンバーガーやアメリカンドッグ、ケーキ、最近では清涼飲料水やスナック菓子までもが学校給食に登場するようになっています。
学校給食には『学校給食法』という法律があります。そこには、給食は「子どもの健康のために実施されなければならない」と記されています。文部科学省は給食を「生きた教材」と呼んでいます。また、学校給食には、私たちの大切な税金が使われています。法律があり、税金が使われています。そこが、一般の飲食店の話とは違うところです。また、多くの自治体が「米の消費拡大」、あるいは「地産地消」の政策にも税金を投入しています。それらのことを確認して、本書をお読みいただきたいと思います。
一方で、本書でも紹介しますが、素晴らしい給食を実施する自治体もどんどん増えています。ですから、その差はとてつもなく広がっています。現実に素晴らしい給食を実施している自治体や学校があるのですから、それはどこの自治体でも実施出来ることなのです。
前著に対しては、学校給食に直接かかわる栄養士、調理師の方からもたくさんの意見が寄せられました。「よくぞ書いてくれた」、「もっと多くの人に関心を持っていただければ、私たちも変えやすい」という声も少なくありませんでした。なんとかしたいと考えている関係者も多くいます。ですから、学校給食は必ず変えることが出来るのです。
そのためには、給食を食べている子どもの父母、教員をはじめとした教育関係者、子どもの健康を預かる医療関係者、食べ物を生産する農業関係者の方々はもとより、もっと多くの国民が給食に関心をもつことが必要です。
子どもが学校を卒業したから給食とはもう関係がないということはありません。学校給食の問題は、子どもの関係者だけでなく、国民全員が考えなくてはいけない課題となっています。なぜなら、給食には税金が使われており、そして、給食を良くし子どもたちの健康を守ることが、国の医療費の削減につながることが明白だからです。
本書を通して、多くの方が学校給食に関心をもってくださることを心から願っています。
|