低インシュリンダイエットの真相

 最近、ちまたで流行のインシュリンダイエット。「カロリー計算なし」「運動なし」「リバウンドなし」と大変魅力的なうたい文句で紹介される一方、批判的な意見もちらほら出始めている。ここではていインシュリンダイエットの真の姿を科学的に探ってみます。

"話題のダイエット法”5つのポイント

 低インシュリンダイエットの生みの親である、米国のロバート・アトキンス博士。彼の「アトキンスダイエット」を低インシュリンダイエットとして日本にに紹介したのがHSL健康科学研究所の永田孝行所長である。
雑誌やテレビなどで紹介されている低インシュリンダイエットを簡単にまとめると、
@体脂肪は血液中の余分な糖がインシュリンの働きで脂肪細胞に蓄えられたものだから、その働きを抑えれば体脂肪は増えない。
A血糖の上昇スピードが速い食品はインシュリンを多量に分泌させるので、血糖値を血糖値を上昇させるスピードを数値化した指数(グリセミック・インデックスGI値)に着目し、GI値の高い糖やデンプンを避ける。
BGI値の低い脂肪や蛋白質は太る原因ではないため、いくら食べてもよい。
Cインシュリンを出さないような食事をすれば、エネルギー収支(摂取カロリーと消費カロリーのバランス)をかんがえる必要はない。
D運動は必要ない。

カロリー計算や食事制限、あるいは運動が不可欠とされるダイエット法とはずいぶん違い画期的だが、本当にGI値に考慮するだけでやせられるのだろうか?


物・パン・麺類
肉類・魚介類・製品
野菜・芋類
乳・乳製品・卵
豆類・海藻類・製品
果物・製品

[高GI値3種]   (GI値)
竹輪 
焼き豚
ベーコン
鶏肉  
まぐろ 
あさり
       

(55)
(51)
(49)
(45)
(40)
(40)

[高GI値3種]   (GI値)
食パン
精白米
うどん
中華麺
全粒粉パン
おかゆ
      

(95)
(88)
(85)
(50)
(50)
(47)

[高GI値3種]   (GI値)
ジャガイモ
人参
とうもろこし
きゅうり
みょうが
ほうれん草
     

[高GI値3種]   (GI値)
練乳
アイスクリーム
生クリーム
バター

牛乳
     

[高GI値3種]   (GI値)
こしあん
つぶあん
厚揚げ
ピーナッツ
昆布
ところてん
     

[高GI値3種]   (GI値)
苺ジャム
パイナップル
レーズン
あんず
イチゴ
アボガド
      

(90)
(80)
(75)
(23)
(23)
(15)

(82)
(65)
(39)
(30)
(30)
(25)

(80)
(78)
(46)
(20)
(17)
(11)

(82)
(65)
(57)
(29)
(29)
(27)

食材別GI値例


”低インシュリンダイエット”の間違い

検証

 残念ながら、右に述べたような”単純な低インシュリンダイエット”は間違っている。”単純な”と述べたのは、実は永田氏のオリジナルの説には科学的に正しい部分も多く、きちんと理解した上で生活習慣を改善すればダイエットに成功するとおもはれるからだ。
しかし”単純な低インシュリンダイエット”にはいくつかの誤りがある。特にBの脂肪やタンパク質が太る原因にならないとするのは、事実にはんする。どんなエネルギー源であれ、体が必要とする以上の量を摂取すれば、余った分は必ず肝臓や体脂肪に蓄えられるからだ。そもそも脂肪や蛋白質はいくら取っても良いとか、エネルギー収支をかんがえなくてよいというのは物理法則に反する。余分にたべたエネルギーはいったい何処に消えるのだろう?脂肪や蛋白質の摂取量を変えずに、GI値の高い食品だけを減らせば、摂取カロリーの合計が減るわけだからやせる可能性はある。ただし、この場合は単なる食事制限のダイエットであって”低インシュリンダイエット”の効果ではない。

インシュリンは悪者か?

 体脂肪とは、食物から摂取された余剰のカロリーが脂肪細胞内に蓄積されたもので、必要なときに使えるよう蓄えられている。これを調節するのがインシュリンだ。
たいていの”インシュリンダイエット法”せわ「インシュリンは血糖値を下げるホルモンで、余分な血糖を体脂肪に変える}と説明され、悪者扱いされている。しかし生物学的に考えると、血糖を必要とする臓器に分配し、さらに余ったエネルギーを必要なときに使えるようとっておくという”やりくり上手”なのである。

運動は必要不可欠

 インシュリンは臓器が糖を吸収するのを促す。したがって栄養が不足するときはもちろん、人が運動するときもインシュリンは分泌を抑制される。インシュリンがあると、筋肉に糖が分配されないからだ。その為毎日、運動を続けていると適応が起こり、インシュリン分泌量は減る。余分なエネルギーを消費させ、インシュリン分泌量を減らすためにも、運動は不可欠である。

体重が落ちる理由

 体内で糖質が不足すると、脳への血糖供給を維持するため、肝臓に蓄えられているグリコーゲンが分解されて糖を作る。このとき大量の水が放出されるので一時的に体重は減る。低インシュリンダイエットは即効的・短期的に体重を減らすのに有効だが、本当に体脂肪が減ったことにはならない。

GI値よりも肝腎なのは食べ合わせ

 このダイエット法の要であるGI値は、一種類の食品を食べて測定された数字である。もちろん通常の食事ではさまざまな食品を同時に食べるので、相乗効果が起こる。特に注意が必要なのは脂肪と糖質を同時に摂るとき。それぞれ単独に摂取するよりインシュリン分泌が刺激され、体脂肪に蓄えられやすい。和菓子よりも、生クリームやバターを使った洋菓子が太りやすいのはそのためだ。

結論

正しい低インシュリンダイエット

本来の低インシュリンダイエット説には、充分に説明されていない大切な事柄がいくつかある。まず、人の生理は個人差が大きく、同じように食事を摂り、運動しても、エネルギー収支はかならずしも同じでないばかりか、同じ人でも季節や年齢により異なると述べられている。これが単純なカロリー計算を否定する根拠となっている。
また「食事誘導性体熱産生(DIT)」も重要である。DITは食後、消化吸収の際に発生する熱で、食事をすると体が温かくなったり汗をかいたりすることでも実感できる。栄養素の種類によってDITの量は異なり、蛋白質だけ摂取した場合は基礎代謝のやく30%の熱が発生するが、脂肪のみではたった4%。脂肪の多い食事は同じカロリーでも"無駄なく身になる”わけだ。糖質も脂肪と同程度である。
運動による消費カロリーは運動時間で計算されることが多いが、運動後の数時間も安静にするよりはずっと代謝が高まる。だから一週間に一度だけ運動するより、合計時間は同じでも数日に分けて行ったほうが良い。そして肥満や運動不足はインシュリンの効き目を悪くする。インシュリンの働きが悪いと、血糖がだぶついて糖尿病になったり、血管の内側にコレステロールがこびりついて動脈硬化になってしまう。
こうしてみると、正しいインシュリンダイエットは決して簡単でもないかわりに、非科学的でもないといえそうだ。

ポイント

T 脂肪の摂取を控え、GI値やDITを目安に適度な量の食品を食べる。  
U 一回の食事の摂取ksロリーを減らし、回数を増やす。食事を普通に摂った上、続けてデザートを食べると非常に血糖を上げやすい。間食は食事と間隔をあけ、カロリーと種類にはきをつける。
V 運動習慣と組み合わせる

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壮快美健館より抜粋