『約束』は相手を縛る物かもしれない
叶えられなくて『嘘』になるかもしれない
それでも・・・

call me, call you
キミの為に出来る

考え事をしながら歩くのは正直賢明な方法ではないと判ってはいる。
それでも俺は考えなければならない。彼女の為に今自分が出来る事は何かないかを。
2年・・・俺の事を忘れずに呼び続けてくれた事、言葉に出来ない位嬉しかった。でも
それと同じ位申し訳なかった。何気無く交わした『約束』は彼女を縛り続け、悲しませ、
前へと歩き出す邪魔をしていたのではないだろうか?

いつの間にか海の近くまで来てた。吹き抜ける潮風が心地良い。
今凄くユウナに逢いたい。逢って聞いてみたい。指笛を吹こうとした瞬間
ピィーーーーーーーーー!
開演のベルの様に響き渡る音が聴こえた。俺の気持ちが届いたかの様に。

「ユウナ〜、どうかしたッスか?」
あまりにも速く現れた相手に驚きつつも、ユウナは笑顔を返した。『約束』通り本当に飛んで来たみたいで嬉しかった。呼べば応えてくれる人がいる。何て倖せな事だろう。
「理由・・・『逢いたかったから』・・じゃ駄目かな?」
「十分過ぎるッス。それに今、同じ事考えてたし」
「同じ事?」
「うん、俺も今ユウナに逢いたかったから吹こうとしてたッス」
同じだねと向かい合い笑う、穏やかで優しい時間が流れた。

「すっげー上手くなったよな、指笛」
「うん!練習したんだ・・・」
「・・・毎日?」
「何で?・・・・・あっ、ルールーかリュックに聞いた?」
「うん」
毎日海に向かって吹いてた事、潜る練習をしてた事、自分たちの前では一度も泣かなかった事。でも俺は知ってる。人一倍頑張り屋な彼女は人一倍泣き虫な事を。きっと1人の時に泣いてたのだろう・・・。
「ありきたりな言葉で悪いけど・・・ごめん、そしてありがとう」
ありがとう、忘れないでいてくれて。コツンと寄せられた額から熱が伝わって来た。

「それでさ、俺に出来る事って何かないかな?」
結局彼には答えが出せなかった。そこで直接本人に聞く事にしたのだ。
ユウナの傍を離れない・嘘は付かないってのは、ここに来るまでに決めたんだけどさ〜、もっと他に今すぐ出来る事が思い付かなくって」
さらっと凄い事を言われたユウナは、みるみる赤くなる頬を思わず押えた。
「・・・十分過ぎるっす」
嬉しくて倖せで泣きそうだった。
「えっ!何かナイ?例えば・・えっと・・ここから村までお姫様抱っことか?」
それは流石に恥ずかしい。しかしこのまま黙ってると実行されてしまいそうな勢いだ。
「それじゃ、1つお願いしても良いかな?」
「何、何?」
「料理作って?」
「・・・・・・・・・・・・・・はいぃ??」
思いも寄らない答えに、かなり間抜けな返事をしてしまった。
「えっ?えっ〜!?何で料理ッスか??」
「キミが作った物美味しいって教えてくれたから」
「誰が!?」
って言いながら思い当たる人物が脳裏をよぎった。それを知ってるのは1人しかいない。
「アーロンさんがね、旅の途中で教えてくれたんだ」
何でそんな事ユウナに言ってるかな、あのおっさんは・・・。
「駄目・・かな?」
ちょっとだけ曇った表情に慌てた。そんな顔させたくて言ったんじゃない!
「了解ッス!でも俺あんまりスピラの食材の事知らないからさ、教えてくれる?」
「うんっ!」
差し出された大きくて暖かい手を握る。ここから家まで手を繋いで帰ろう。


1人より2人で。足りない部分を補ってお互いを支え合おう。
そうすれば、今日出来なかった事が明日は出来るかもしれないから。
1人で立ってられなくなったら指笛を吹こう。
2人だけの大切な約束は、『縛る為』じゃなく『倖せになる為』に交わしたのだから。
■絵は『奇跡』をティーダで『指笛』をユウナでって決めてました。果たして指笛はこの手つきで吹けるものでしょうか?因みに私は指笛どころか口笛も吹けない不器用人です(>_<)。料理話はアルティマ二アに書いてあったので使ってみました。アーロンさんがそんな事言うかどうかと、この後ティーダはお姫様抱っこが出来たかどうかは内緒と言う事で(笑)。
★Last Update:2003.09/17★戻る