バーナム・ピアノテクニックについての考察
ここで、バーナムピアノテクニックの細かい考察をしていくには、理由があります。それは、バーナムは明らかに「その後に惹かれるであろう、ショパン、バッハ、ベートーヴェン、モーツァルト、リスト、シューマン、ドビュッシー、ラヴェル」といったピアノ音楽の大家たちのテクニックに向かっている」からです。バーナムの第一巻のある曲は、ショパンのエチュードやバラードに通じていますし、また、バッハの平均率に通じています。これらを明らかにしていき、だからこそ日々の練習にどのようなことに気をつけていけばいいのかを考えて生きたいと思います

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バーナムピアノテクニックミニブック

バーナムピアノテクニック導入書
バーナムピアノテクニック 1
バーナムピアノテクニック 2
バーナムピアノテクニック 3
バーナムピアノテクニック 4

バーナムピアノテクニック全調の練習

第1回(2006・02・02)ハノンとの違い
よく、ピアノのテクニックの練習のために、「ハノン」が使われます。これと、バーナムとは明らかに違います。

1.ハノンは、指の均等さのみを極度に追い求めている。
ハノンといわれると、1番から30番までの16分音符の連なりが思い浮かびます。もちろんあとのほうに、オクターブ、3度、6度が出てきますが、そこまで練習されることはほとんど無いようです。そうすると、指の返しの無い音形で、1〜5までの指を以下に順番に均等に動かすか、のみの練習といえます。それをわかっててやるのはいいのですが、実際ピアノの多くのテクニックのうちの本の一部分であるといえます。ですからハノンの練習が、ショパンやベートーヴェンに多くつながっているかというと、わずかな部分でしかないと考えられます。ですので、そのようなことをわかってどのように使うかです。極端に言うと、ハノンの1番から30番は、同じような風邪薬が並んでいるようなものです。もちろん、後半のさまざまな動きのものと混ぜて使えば、だいぶ事情は変わってきますが、ちょっと現実的でないような気もします。

2.バーナムは、さまざまな動きを交互に出している
それに対し、バーナムは、さまざまな動きを短い楽曲で出しています。それぞれの進度に応じて、できる限りのさまざまなテクニックになれるように方向付けされています。これらは、どのような練習曲が、将来どのような極のどのような部分になって花開くかを、論じて生きたいと思います。

ここで注意しなくてはいけないのですが、ハノンの目的は、「テクニックが出来上がった人への指鳴らし」を目的にかかれており、バーナムは「さまざまなテクニックの習得」を目的に書かれていることです。
要するに、ハノンとバーナムはまったく違う薬であるのです。医者(ピアノ教師)である私たちは用法や、効能をきちんと考えて、目的にしたがって正しく処方していくことが求められています。

第2回ミニブックから
・左右対称の考え方
まず、ミニブックのグループ1を開けるとわかるのですが、ここでは、左右の手を、シンメトリーとして扱っています。
ピアノで、「左右同じに」弾くというと、2つの考え方があります。ひとつは、「ユニゾン」つまり、両手とも「ドレミファソ」を弾く考え方です。ハノンは、このような考え方が非常に少ないといえます。もうひとつは、「シンメトリー」つまり、親指から小指へ、内側から外側へ、または、外側から内側へ行く方法です。
人間の機能からすると、「ユニゾン」より「シンメトリー」のほうが自然であるといえます。(もちろん人間の体は完全な左右対称ではないのですが、ここではこの問題は省きます。)1の指、2の指、3の指までをほぐしていくのが、グループ1だといえます。
・様々な弾き方
ここですでに、スラーとスタッカートが登場します。つまり、フレージングのための練習がすでにあるのです。一つ一つの音が引けるだけでなく、その音と音との関係を、技術的に慣れていくことが必要だということです。フレージングやアーティキュレーションはあとから学ぶものでなく、初歩からやっていくべきものです。もちろん最初は単純ですが、簡単な2つ3つの音を弾くときに、置き忘れてはいけないことです。
・和音について
グループ1、7番まで行って「ド」から「ミ」までの感覚がつかめると、すぐに「ドミ」の和音が出てきます。グループ2も7番まで行って「ド」から「ソ」までの感覚がつかめると、すぐに「ドミソ」の和音が出てきますまた、初歩の場合、外側に行くほど指がしっかりしにくいものですが、はやいうちから5の指をしっかりさせることを覚えるためだと思います。
・基本的な考え方「様々な弾き方」
ピアノのタッチの仕方は、様々です。初歩から思い切った様々な弾き方に鳴らしていく、これがこのバーナムの特徴だと思います。教師は、生徒の野能力に応じて、応用をさせていくことが求められます。この、「応用」は、ありとあらゆる引き出しを教師が持っているかどうかにかかっています。
強弱、クレッシェンドやデクレッシェンド、発想記号(やさしく、急いで、堂々となど、ほかにも、象さんのように、小鳥のように、とか、なんでもありです)移調、リズム変奏などなど、あるいは、これらのものを適宜組み合わせていくこともできます。

第3回 名作への準備
バーナムのテクニックには、明らかにショパン、バッハ、リスト、シューマン、ドビュッシーー、ラヴェル、バルトークといったピアノの王道とも言える作曲家たちのテクニックが、初歩のうちから入っています。これは非常に重要なことです。なぜならこれらを弾けるようにするのが最終的な「バーナムの目的」であるからです。教師は、この曲集を生徒に与えるとき、片時もこのことを忘れてはいけません。時々、バーナムの練習曲と、来るべき名作の一部分を、教師は聞かせることも必要だと考えます。また、具体的な練習方法は、名作のパッセージから逆算して、弾かせるべきです。




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W.F.バッハ  ブーレ ロ短調
ブーレとは、フランスの農民の踊りです。テンポは、活発な感じ、4拍子の表示がありますが、2分の2拍子のような感じのほうがいいと思います。
この曲は、いかにリズム感よく弾くかがポイントになってくるかと思います。
最初から16小節まで右手、左手、それぞれ独立してテンポ正しく、スタッカートやスラーを正しく。両手を合わせたときに、これらのことが、あやふやにならないように。片手筒の練習は必要ですが、数小節づつ早い段階から両手に慣れておくことが必要だと思います。ゆっくり練習するのは大変重要ですが、そのときにテンポは明確に刻むこと。
17小節から24小節まで、右手のシンコペーションを正確にとるだけでなく、左手が独立して正しいリズムが取れること。特に左手だけ弾いたとき正確なテンポと音の長さ、スラーが気をつけられるといいと思います。
クーラウ ソナチネ 作品55-1第一楽章
出だしの左手のリズムが、この曲の全体を決定してしまいます。左手1小節目の1拍めは、軽く弾き、2拍めの2部音符に少しだけテヌートを感じるといいと思います。右手の出だしは、1拍めの付点四分音符にテヌートを感じますので、左右のリズムが上手くあわせられるように注意しましょう。重くなりすぎないように。3〜6小節は、左手弾む感じで、7小節はスラーをていねいに。
9小節目からは、流れるように。左手がうるさくなりすぎない。1小節目から7小節目まで縦わりで数えて、9小節目から横に流れるように数えるとといいと思います。13小節から20小節の繰り返しまで、左手がポイントです。右手が橋の上の部分なら、左手は橋を支える橋脚のようなものだ、と思います。右手は、もたつかないこと、左手は正しいタイミングに弾くこと。18〜20まで、左手のタイミングが遅れないように。
21小節目からの展開部はやさしく流れるように、特に、23〜25のハーモニーの変化と表情がポイントです。左手がうるさくてはいけないのですが、表情は豊かに。27〜28と29〜30強弱をはっきり。
34再現部の頭では、特にリズムが乱れやすうので注意が必要です。36の3,4拍から始まる右手はていねいに、提示部と違うことを意識して弾くといいと思います。43の3,4拍目のドミソドは、はっきりと、この曲の大きな曲がり角の一つです。
曲の最後は堂々と。でも、あまり最後をゆっくりしすぎないほうがいいと思います。
カバレフスキー 「川辺の夜」「ボール遊び」
「川辺の夜」は、静かな曲です。1小節目から4小節まで、3拍目が重くなったり早く切り上げたりしないように。ていねいな3拍子で。5〜6小節の8分音符が、なめらかに。8小節臨時記号に気をつけて、2小節めよりも、表情たっぷりと弾くといいと思います。最後は慌てずに、音が消えていくのをよく聴いて、そっと手を離すといいと思います。
「ボール遊び」は、軽くて活発な曲です。テンポが速くなっても8分の3拍子がぜったいに崩れないように。この曲の場合あまり1拍目に重さを感じると、バランスを崩してしまいます。軽く均等に3つの拍を感じるのが一番良いかと思います。音の出し方としてはフォルテが重くならないように、ピアノに弾みがくならないように気をつけるといいと思います。16分音符が突っ込み過ぎないように。
ローデ 「あやつり人形」
ユーモラスな操り人形の感じが出るといいと思います。16分音符がすべらないこと、スラー、スタッカートをきちんと弾くことなどがポイントになると思います。
1小節目右手は軽やかに、音がダブったり、もたついたりしないように、指の分離は大切ですが、だからといってバタバタしないように、なめらかなタッチが必要です。左手は、うるさくなりすぎないように、3〜4小節のアーテキュレーションに気をつけましょう。9小節目から、フォルテやクレッシェンドが、乱暴な音にならないように。16〜20右手スタッカート、左手スラーをきちんと。テンポがだれないように、
29〜34左手16分音符なめらかに、フォルテが重くなりすぎない、ピアノが音が抜けないように。手や指の関節の柔軟さも必要だと思います。37〜42左手の長い音をたっぷり響かせて。こちらがメロディーだということを忘れずに。
67〜75左手をきちんと弾くと最後がしっかり決まります。左手だけで正確なテンポを刻めるように練習しましょう。
J.S.バッハ ガヴォットBWV808 /プレリュード BWV927
このガボットは、イギリス組曲の第3番ものです。
ガボットは、2分の2拍子の軽快な踊りです。軽やかに、弾むように数えることです。
出だしから繰り返しまでは、四分音符は、ノンレガート、八分音符はレガートというのがいいと思います。
この音符はレガート、この音符はノンレガートということは、はっきり決めておくといいと思います。とにかく、軽快な2分の2拍子で曲が進められるかが、問題だと思います。
拍の頭にアクセントが来ますが、重くならずに、弾むように感じるといいと思います。いつでも片手ずつテンポ、リズムがきちんと取れるように。
14小節2拍目から左手はっきり、でもリズムが重くなったり引きずらないこと。このときの右手のトリルは軽く。この部分両手を合わせたときに、リズムやテンポが苦しくならないように。26,27から31までゼクエンツを意識して、終結に向かってクレッシェンドを感じるといいと思います。

プレリュード
この曲も最初の2小節左手リズムやテンポを正確に。スタッカートが重くなりすぎたりしないように、よい響きを探しましょう。右手は、16分音符を均等に、これは拍の頭にアクセントをつけないほうがいいと思います。右手拍の頭に1の指が来るので気をつけないとぶつけてしまいます。
2小節目4拍で、右手から左手への受け渡しがありますが、つなぎ目が見えないように。3,4小節左右が入れ替わっても、ぎこちなくならないように。5〜8左手の大きなフレーズを感じるといいと思います。5,6小節上り、7、8小節下り、クレッシェンド、デクレッシェンドをよく生かすといいと思います。
9、10小節左手正確に、特に9小節の3,4拍がもたれないように。11,12右手リズムが崩れないこと。14小節3拍目四分音符はよくテヌートして次の八分休符をきっちりとって、堂々と終わるように。
クーラウ ソナチネ 作品55-3第2楽章
アレグレット・グラチオーソで、かろやかにリズミカルに弾くのがポイントだと思います。スタッカートを弾むように。2小節目の四分音符は、アクセント、ぶつけすぎないように。
繰り返し16小節まで、左手だけで休符も含めて正確なテンポ、リズムで弾けるように練習するといいと思います。このような休符が正確にに感じられると、全体が引き締まってきて曲の運びがよくなると思います。
6小節の頭装飾音が重くならないように。
17〜20、21〜24それぞれ感じを変えて、25〜28ひだりて軽く。
36からイ短調、左手をなめらかに右手をよく歌って。ここまでは、縦に数えますが、ここから横に感じるように数えるといいと思います。58左手はっきりと、でもリズムを正確に重くならないように。
ヘンデル サラバンド ニ短調
サラバンドは大変ゆっくり演奏されます。おそらく左手は、ヴィオラ・ダ・ガンバのような、弦楽器がプラスされて演奏されたように思われます。僕は、全部の拍をテヌートのように感じて弾くのが良いかと思います。ただ、その人それぞれの演奏の状態によってどこかの拍を強く感じるとうまくいくこともありますので、一概にはいえません。
楽譜の2拍目にテヌートがあるのは、往々にして2拍目が短くなることを防ぐためだと思います。
左右の音域が離れているので、両手ともたっぷり歌うように弾くといいと思います。
拍は、弾んではいけません。左手を4小節フレーズを感じると、まとまりやすくなると思います。
16小節から、8部音符の左右が、お互い対話しているように弾ければいいと思います。
平吉毅州 踊り明かそう祭りの夜は
ただ、縦割りにリズムが正しくても、あまりおもしろい演奏になりません。左手は、右手の間に「タイミング」を狙って入るように弾くといいと思います。先生が右手を弾いてその合間にいい「タイミング」で左手を弾くようにするとなんとなくわかります。(この方法で、この前のレッスンでうまく行きました。)片手だけで練習するとき、この「タイミング」を忘れると、リズムの緊張感のないだらっとした演奏になります。片手練習は必要ですが、この「リズムとタイミング」が作るここちのよい緊張感を忘れずに。