第8回 緑資源緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間
環境保全調査検討委員会傍聴記
2005年10月07日 広島市 グランドインテリジェンスホテル
昨日、10月7日に広島市内で第8回検討委員会が開催されました。度重なる委員の任期延長で今回が最後になるかと思われましたが、いつの間にか今年末12/31まで任期がのびていました。会を重ねるごとに問題点が浮き彫りになる形で進んできましたが、このたびも、「細見谷渓畔林の価値」が全体として評価されていない(波田委員)、「夜行性動物、特にツキノワグマやニホンヒキガエル、にとって、夜間走行は影響が大きく、夜間の通行止め措置が必要」(石橋委員)、「普通種(RDB記載のない)の影響が審議されていない。哺乳動物に関して、特にモグラ類に関し、種の同定ができていない。そのため、仮に着工したとして、その後のフォローアップ調査での評価に支障をきたす。さらにこの案では工事差し止めの歯止めとなるシステムがなく問題である。さらに報告書案にない分類群の重要性を考えれば、こうした分類群の追加調査も必要では?」(鳥居委員)といった厳しい意見が続出し、事務当局は困惑気味の検討委員会となった。さらに事務当局から、現状では来年度の再評価委員会(林野庁)にかかる予定との見通しが明らかにされた。次回の検討委員会では、とりまとめの作業と結審となる見込みだが、現状では、工事の影響は必至との結論になる可能性がある。少なくとも、3委員にはその認識があるように見受けられたが、事態は流動的である。ある委員は、H12年度の再評価委員会の「環境保全に十分配慮して着工」という結論を楯に、建設を前提とした委員会であることを公言し、事務当局もその旨を指示する発言があったが、「十分検討したが、十分な保全策をとることは不可能」との結論がでれば、その前提は覆ると考えるのが合理的で、波田委員もその点を指摘した。「通常の環境アセスメントでは、まず、建設の是非を巡って審議するもの」としたうえで、「保全のためのこれまでの努力」は評価の対象外である旨の発言があった。ここへきてやっと、渓畔林全体の生物多様性とその生産量の高さの保全といった点を指摘する意見が出てきたことを評価したい。機構側は来年度の再評価委員会を乗り切るために、フォローアップ調査会を設けることを提案してきているが、その委員会と現在の検討委員会との連続性は保証されておらず、具体的な調査項目や調査方法、評価に関しては全く白紙の状態で原案を認めれば、同委員会は絵に描いた餅そのものにすぎない。それでも、ある委員は、安心してゴーサインを出せるとまでいっている。鳥居委員はそれに対して、前述したとおりの発言をし、何の歯止めにもならず、工事差し止めの保証もないことを指摘した。その通りである。この日も、平日にも関わらず、23名が傍聴した。ただし、ツキノワグマの部分に関しては、島根県からの強い要望で非公開となった。総じて、複数の委員から影響の大きさを指摘する声が強まった感がある。合理的な理由がない緑資源幹線林道であればもっともな結論であろう。細見谷渓畔林の価値をどのように評価するか、そこから再出発して頂きたいと改めて強く感じ、その目が出てきたことで少し明るい気分になれた傍聴でした。以下は、中国新聞(10/8)の記事のコピーです。廿日市市吉和西―安芸太田町二軒小屋(一四・四キロ)の林道計画で、緑資源機構(川崎市)の環境保全調査検討委員会(中村慎吾座長、五人)が七日、広島市南区のホテルであった。動植物への保護対策の議論が大詰めを迎える中、ルート上の細見谷渓畔林の評価などについて注文が相次ぎ、結論はまたも持ち越した。昨年六月に同機構が設置した委員会は八回目。着工後の環境保全措置の承認に向け、重要種の植物の移植や、渓畔林周辺で暮らすツキノワグマ対策など積み残しになっていた課題を議論した。この日で議論を終結する可能性もあったが、委員の一人がクマなど夜間に活動する動物を守るために夜間通行止めを求めるなど議論は白熱した。
別の委員は、委員会の報告書に細見谷の自然の価値と、工事で影響が出る事実を明記し、来年度に予定される林野庁による事業再評価に判断を委ねる考えを示した。
機構側は着工前と工事中、施工後にそれぞれ環境影響をチェックするフォローアップ調査の方針を説明し、理解を求めたが、結論は先送りされ、年内に再度、委員会が開かれる見通しとなった。中村座長は「次回を最後にしたい。委員全員の合意を得て、次の段階のフォローアップ調査に委ねたい」と話していた。
林道計画は本年度の着工を目指している。機構側は「委員会での了承を得たとしても、事業着工は実質的には来年度になる」としている。