緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間二軒小屋・吉和西工事区間の
環境保全調査検討委員各位に対する公開質問状2004年11月28日
環境保全調査検討委員 各位
広島フィールドミュージアム 金井塚 務
細見谷流域研究者グループ 安渓 遊地
国際自然保護連合生態系保全委員会委員 河野 昭一
広島大学大学院生物圏科学研究科教授 中根 周歩
岡山大学農学部水系保全学研究室助教授 福田 宏細見谷渓畔林(西中国山地国定公園)を縦貫する緑資源幹線林道計画に対し、かねてより同渓畔林の保全を求めて日本生態学会をはじめさまざまなNGOが工事中止を要望しています。それに対し緑資源機構では検討委員会を設置して、「林道工事の実施に伴う影響の予測・評価及び保全措置を専門的、学術的な見地から検討する」としております。
しかしながら、委員会を傍聴し、議事録を閲覧した限りでは、検討委員会での議論の内容が保全に対して正面から取り組まれていないような気がしております。例えば、11月9日に行われた第3回検討委員会では、生態系全体に及ぼす影響評価をとの意見に対し、その重要性に関しては認めるものの、調査方法の困難さと時間がかかることを理由に検討を棚上げするなど、本来の任務である渓畔林保全の重要性を考慮した検討が十分ではないと感じています。
そこで僭越ではございますが、細見谷渓畔林をフィールドとしている研究者グループを代表して以下の素朴な疑問にお答え頂きたいと公開質問状を認めました。ご多忙中とは存じますが、検討委員会の責務の重大性に鑑みご回答頂きますようお願い致します。
なお、勝手ながら回答期限は12月10日とし、封書またはE-mailにてお願いします。
検討委員の皆様は、緑資源機構から渓畔林という極めて特殊な生態系に対して「専門的、学術的な立場から検討するため」という理由で選任されております。そこでお伺いします。
1. 貴方のご専門分野と研究内容について、渓畔林との関わりという点からお知らせ下さい。また、渓畔林に関わる研究業績(発表・未発表を問いません)についてなるべく具体的にお知らせ下さい。
2. 細見谷渓畔林の特性について、ご自身の研究歴と関連してどのような見解をお持ちでしょうか。
3. 林道を舗装した場合に、渓畔林全体にはどのような影響が出るとお考えですか。生態学的な観点からご回答下さい。またその影響をどのように評価なされますか。
さらに車両通行量やアウトドアー利用の増大に伴う影響についてはどのようにお考えでしょうか。あわせてご回答をお願いします。
4. 現在の検討委員会で議論されている保全措置は、個別種に限られていますが、それだけで渓畔林生態系の保全は十分だとお考えですか。5 検討委員の中に両生類や水生昆虫、陸棲貝類などを専門とする委員がいないようですが、その点に関してはいかがお考えでしょうか。ご見解をお聞かせ下さい。
6 検討委員会での協議日程があらかじめ決まっているようですが、それで議論は尽くせるとお考えですか。あるいは、それほど林道建設を急ぐ必要があるとお考えですか。7 細見谷渓畔林周辺の林業の実態についてどのような見解をお持ちですか。
8. 渓畔林保全に関わる議論を尽くすためにも、林道工事と渓畔林保全を巡る議論を公開で行いたいと考えています。そうした公開討論会に出席されるお考えはございますか?ご回答は、同封の封筒をご利用の上下記宛先までご送付下さい。
739-0424広島県佐伯郡大野町前空 1-8-25
広島フィールドミュージアム
金井塚 務
E-mail の場合
kana.hfm58@viola.ocn.ne.jpなお、頂きましたご回答は、各NGOのHP上で公開し、あわせて各マスメディアに対して広報したいと考えています。もし、期限内にご回答頂けない場合には、その旨を記して同様の処置をとらせていただきたいと思いますのでなにとぞご了承下さい。
上記の質問に対して、次のような回答を頂きました。
<回 答>
平成16年12月7日
広島フィールドミュージアム
金井塚 務 殿
細見谷流域研究者グループ
安渓 遊地 殿
国際自然保護連合生態系保全委員会委員
河野 昭一 殿
広島大学大学院生物圏科学研究科教授
中根 周歩 殿
岡山大学農学部水系保全学研究室助教授
福田 宏 殿
緑資源幹線林道 大朝・鹿野線
戸河内・吉和区間(二軒小屋・・
吉和西工事区間)環境保全調査
検討委員会 委員一同
「緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間二軒小屋・吉和西工事区間の
環境保全調査検討委員各位に対する公開質問」について
本検討委員会におきましては、緑資源幹線林道大朝・鹿野線戸河内・吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)の林道工事の実施に伴う影響の予測・評価及び保全措置について、専門的、学術的な見地から検討を進めるに当たり、その参考とするため、本区間の環境保全調査報告書(素案)に対する意見の募集を行っているところです。
さらに、意見募集の後に、委員会として「必要な情報を有する方等からの意見聴取」の機会を設ける考えでありますので、ご連絡いたします。
つきましては、今回のご質問に対する回答は、差し控えさせていただきます。
質問者からのコメント
この回答は、緑資源機構が用意した文章です。こういうのを、木で鼻を括った回答というのでしょうか。大変残念です。もっとオープンに議論できないものでしょうか。最近、説明責任という言葉をよく聞きますが、それを求めると私怨と誤解されてしまうのは不幸なことです。
私たちには、検討委員の諸氏に対して何の個人的恨みがあるわけではありません。この質問内容が個人攻撃だとの風評が聞こえてきましたが、それはお門違いで、税金を使っての公共工事しかも、貴重な自然を破壊する疑いが濃く、必要性に乏しい工事であれば、それを厳しく監視するのも納税者としての当たり前の権利、義務でもあります。
検討委員会といういわば公人に準ずる立場に立った人であり、研究者であれば、そのよって立つ位置を明らかにするのは当然で、国民からすれば、本当に信頼できる検討がなされるかに大きな関心を持ったとしても何の不思議もありません。どうも、我が国では、公共の責務と個人的感情の違いを整理できない人が多いようです。
繰り返しお断りしていますが、個人の人格を傷つけるような意図はまったくありません。問題は、緑資源機構に選任された検討委員の方が、どのような立場にいてどのような見識を持っているのかにあり、それを市民として知る必要を感じたからに過ぎません。
この回答に対する市民の反応です(本人の了解が得られた分のみ掲載しています)
●的を射た質問に対する回答を楽しみにしていたのに、全く無視して逃げるような回答にがっかりしています。
<さらに、意見募集の後に、委員会として「必要な情報を有する方等からの意見聴取」の機会を設ける考えでありますので、ご連絡いたします。>意見募集とありますが、あの質問状が市民と有識者を代表した募集意見の集約で、それを無視するということは形式上しか意見を募集する気はないということですね。
書面上で、その回答もできない人達が行う「意見聴取会」というのも形式上のものになりかねないと思います。
広島市佐伯区 H.K (30歳 男性、自営業)
●回答を読んで、唖然としました。この回答はいったい誰が書いたのですか。
これを読む限り、緑資源機構=検討委員会であり、その間に距離も緊張関係もいっさい感じられません。報告書(素案)に関する意見の募集を行っている実施主体は、緑資源機構であり、検討委員会は「意見の募集を行うよう提言を行った」かもしれないが、その実施主体ではないはずでしょう。
『検討委員会は、専門的・学術的な見地から、林道工事の実施に伴う影響の予測・評価を行うことによって、環境(生態系)保全の可否を検討してきたが、さらに広く「情報を有する方等からの意見聴取」の機会を設ける必要も感じたので、そのような提言を行い、このたび資源機構が実施することになった。ついては、ぜひそれに協力していただき、ご意見をお寄せ下さい。』ということなら、まだ話の筋としては見えます。(もちろん、それにしても公開質問状に対する重大なはぐらかしであることには変わりありませんが。)
ただ、そういう実施主体と検討委員会の関係がきちんと論理的にも整理されない回答をよこすということは、工事そのものの推進主体と、場合によっては、「ストップ」「ノー」をかけることのできるはずの検討委員会の緊張関係がまるでないということを典型的に示していると思われます。
広島市 S.H (55才 男性、 団体職員)
●今回の公開質問状と、「調査報告書(素案)に対する意見募集、聴取」は何ら関係はありません。委員会はあくまでも「調査報告書を検討する」会でしかなく、検討委員の「渓畔林への認識」や「細見谷渓畔林周辺の林業の実態への見解」が「報告書」に対する意見募集や聴取で明らかになる筈がありません。だからこそ、重要な質問状なのです、こんなごまかしがまかり通るのでしょうか。
廿日市 シンポ参加者 女性
●検討委員の皆さんの意見を聞きたいわけで、こちらの意見聴取をするから回答しないというのは、全くかみ合わないのですが、どういうことなのでしょうか。これでは、検討委員の皆さんは、ことの重大性に対する認識が甘いと思われても仕方ないし、この程度の質問状に対して回答されないようなら、とても責任を持って検討するなんて不可能と思われる危険性もあります。そのような評価を受けないためにも、質問にはきちんと回答された方が良いと思います。
検討委員会の検討結果如何では、生態学的、経済的、その他諸々、長い将来に亘って取り返しのつかない禍根を残すことにもなりかねず、そうなったときには、やはり、委員の皆さんに対するマイナス評価は後々まで続くことになるでしょうから、お一人お一人が、どのような認識でどんなに真剣に取り組んでこられたかを公表されることをお薦めします。
その意味でも、委員以外の研究者達の意見を積極的に聴取されることはもちろんですが、是非、公開の討論会を開き、委員の皆さんがご自身のお考えを公開される場を設けられた方が良いと思います。以上。
広島市 T.M 女性