「子ども(家庭)の貧困」可視化 と 支援システムづくりへの共働
〜子どもをめぐる状況・背景・課題を考える〜
(渕上 継雄)
1.寄る辺(行き場)を失った子どもたち
・電話・メールに窺う子どもの心・からだ・人間関係・・・
・性や家族・友達関係を主とした悩みから
・時に虐待・ネグレクトと思われるきびしい内容
・「もしもしキモチ」につながりを求める子どもたち・・・
2.子どもの生命・生活・教育基盤の崩壊
・虐待の増加(4.2万人)と死亡(重傷)事件の特徴
・保育所待機児・学童保育・就学援助・高校中退等、経済的困難家庭の増加
・校内暴力(キレル子)、いじめ、不登校、自殺
・学力格差と学習不振児、電子メディア漬けの子ども
・子ども期全体にわたり、生命力・生活力・あそび力・自己肯定感などの減退
3.黒幕(子ども・家庭の貧困)が表舞台に登場
・子ども家庭問題の何をとりあげても、その根底に横たわってきた最大の要因
・「貧困」諸相の拡大(子ども7人に1人、0〜2歳児18%、母子家庭66%、生活保護以下の低所得家庭230万人、親と暮らせない子4万人、養護相談8.5万人)
・多様な実態を「可視化」すること(家庭・保育・医療・福祉・教育・地域など)
・複合性・連鎖性(低所得→不安定な生活→不健康→教育的・文化的体験の制限→学力不振→進路不利→社会的自立の不利→〔世代間連鎖〕・・・)
・多様な困難(不利)をかかえた子ども(貧困・障がい・虐待・不登校・学力不振・・・)は、全児童の20%をこえていると思われる
・日本は先進国でも最低水準の社会保障(子ども家庭支援)と教育保障(教育費負担)
4.子どもたちに生きる喜びと希望を育むシステムづくりを
・チャイルドライン「もしもしキモチ」の役割(社会の鏡である子どもの声やねがいをていねいに受けとめ、子どもをエンパワーし、社会に発信する感性と力量)
・子どもの村福岡の誕生と社会的養護の改革
・子どもNPOセンター福岡を中心とする「子どもにやさしいまちづくり」活動との共働
・個別関係(ミクロ)・地域社会(メゾ)・国・県・政令市(マクロ)各レベルの支援システムづくりへ、連携と共働の推進
チャイルドライン「もしもしキモチ」一年の経過とこれからの展望
(報告者:山田 真理子)
チャイルドライン「もしもしキモチ」が生まれて10年が経つ。この間、キャッチャー受講者は300名を越え、数千件の電話やメールに対応してきた。
その間、もしもしキモチ独自の「セックスコーラー対策」や「三層構造のサポーターシステム」「メールキャッチャー養成講座」などを開発し、電話をかけてくる子どもたちへの対応を充実させる工夫を重ねてきた。永年続けてきたキャッチャーの転居や若いキャッチャーの進学などは電話を受ける体制としては痛手だが、より広い子ども支援の広がりと考えることにしよう。
■悩むエネルギーさえ失った子どもたち
さて、ここ数年の動向として課題と感じることは、「悩みの不明確化」である。悩めないと言ってもいい。本人は悩んでいるつもりでも「どうしていいか分からない」「ぼーっとしてしまう」「やめたいけどやめられない」で止まっている。何とかしようとする動きは起こさないし、「気にならなくなるのなら、それでいい」「何とかしたいと本当には思っていない」のではないかとすら思われる。悩むエネルギーさえ持たない子どもたちが増えていて、キャッチャーとのおしゃべりでちょっと自信と力をもらうために掛けてくる。
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■見えにくい救済システム
一方、とても厳しい環境の中にいても、「辛いけれどどうにかなるとは思っていない」諦めた子どもたちの姿も感じる。コーラーは虐待を受けている内容を語るだけでなく、不登校であったり、家出してホームレスに近い状況であったり、ひとり親で親の愛人からの虐待であったり、複数の困難を抱えていて、それゆえに教師や民生委員などの社会的養護への窓口をすり抜けてしまっていることを感じさせる。また、彼らがそのような窓口に直接SOSを出すようなシステムが日本の社会にないことも、ひしひしと感じさせる。しかし、彼ら自身に「今の自分の悲惨な状況から救い出してほしい」という訴えがあるわけでもないので、キャッチャーが児童相談所などを勧めると切電されてしまう。児童相談所も手一杯の今、彼らが自らフラリと入れるシェルターはできないものだろうか・・・。
■もしもしキモチNEXT10に向けて新たな一歩を
チャイルドラインに寄せられる彼らの声の背景にある焦りや無力感、憤りや諦め、孤立や刹那主義・・・それらに対して私たちがするべきことは何だろうか?10周年を迎えた今、私たちは子どもたちのつぶやきの背景にある無言の叫びに耳を傾け、社会に発信し、仕組みを作っていかねばならない時に来ていると思われる。
チャイルドラインのNEXT10は、チャイルドラインに関わる一人ひとりが、何ができるのかを問い返すことから始まるのだろう。
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■第9年度(2009年度)事業報告
(報告者:山田 真理子)
定款に掲げる目的の実現をめざし、以下の基本方針にそって事業を実施した。
【目的】
本会は、子どもに寄り添い、子どもの声に耳を傾け、自立をうながし、一人ひとりが自分らしく生きることができる社会を実現することを目的とします。
【定款に掲げる特定非営利活動に係る事業】
(1)チャイルドライン「もしもしキモチ」の実施
(2)相談員(受け手)の研修、育成
(3)子どもの問題に関する社会への啓発、広報
(4)子どもの問題に関する諸機関との連携、交流及び共同研究
(5)その他、本会の目的を達成するために必要な事業
【第9年度基本方針】
(1)もしもしキモチの特徴を活かして、電話とメールで子どもの声を受けとめる
(2)サポーター・キャッチャーの研修や研修方法の研究を深め、力量を高める
(3)子どもたちへの周知をはかり、受け止めた電話・メールの声をもとに社会への提言を行う
(4)幅広く社会的認知を高め、認定NPO法人の認定を活かして支援を広げ、経済的な基盤を確立する
(5)子どもの現状・子どもの権利に関する諸機関との連携、交流を深める
●2009年度 電話・メール実施状況
<常設ライン>…年間66日間実施 対話延べ時間 207時間11分(平均19分12秒)
■期間:2009年4月1日〜2010年3月31日
■回線:2回線 毎週水曜日 18:00〜23:00(5時間)
毎月第2火曜日 18:00〜21:00(3時間)
■着信数:総着信数 1,810件(うち対話成立件数 648件 ※36%)
メール着信数 360件
<フリーダイヤル>…5月(2日間)・11月(3日間)の5日間実施
■期間:@子どもの日全国フリーダイヤル(2009年5月5日〜11日)
A九州統一フリーダイヤルキャンペーン(2009年11月10日〜22日)
■回線:@2回線 18:00〜21:00、18:00〜23:00
A2回線 18:00〜21:00、18:00〜23:00
■着信数:@総着信数75件(うち対話成立数 35件 ※47%)
A総着信数98件(うち対話成立数 45件 ※46%)
■対話時間:@合計5時間10分(平均8分54秒)
A合計14時間8分(平均18分48秒)
<全体実施体制>……延べ参加人数654名
キャッチャー(受け手)379名 サポーター・スーパーバイザー(支え手)143名 総務関係132名
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| 電話08年度 | 電話09年度 | メール(2009) | |
| 4月 | 177 | 118 | 25 |
| 5月 | 227 | 236 | 44 |
| 6月 | 149 | 127 | 15 |
| 7月 | 165 | 202 | 33 |
| 8月 | 138 | 113 | 45 |
| 9月 | 137 | 141 | 41 |
| 10月 | 156 | 136 | 43 |
| 11月 | 314 | 213 | 23 |
| 12月 | 146 | 92 | 23 |
| 1月 | 132 | 143 | 31 |
| 2月 | 120 | 132 | 14 |
| 3月 | 142 | 157 | 23 |
| 全体 | 2,003 | 1,810 | 360 |
・着信件数

・年齢層

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・通話内容


・通話時間

・着信時間帯

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★子どものための電話★
<特徴>
・垣間見える虐待事例の悲惨な背景
・子どもを取り巻く過剰な性情報の氾濫と思春期の性にまつわる混乱
★もしもしキモチメール★
<特徴>
・メールならではのリピーターがいる
・抱え込んでいたものを一気に吐き出すようなメールが多くなった
●相談員(受け手)の研修、育成
<第9期キャッチャー養成講座>(グリーンコープ福祉助成)
■時期:2009年5月〜10月(合宿を含め全10回)
■会場:福岡市NPO・ボランティア交流センター、アムウェイプラザ、スコーレ若宮
■受講者数:24名(うちキャッチャー登録者数7名)
<メールキャッチャー養成講座>
■時期:2009年12月(2回実施)
■会場:チャイルドライン「もしもしキモチ」事務所
■受講者数:2名
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<継続研修>
◎事例検討会
■時期:2009年4月11日、7月4日、2010年1月9日
■会場:チャイルドライン「もしもしキモチ」事務所
■参加者数:延べ19名
◎サポーター交流会
■時期:2009年11月26日
■会場:チャイルドライン「もしもしキモチ」事務所
■参加者数:6名
<ことばを紡ぐワークショップ>
■時期:2009年9月19日〜21日(2泊3日)
■会場:長崎県小値賀町野崎島 自然学塾村
■参加者数:11名(講師2名含む)
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●子どもの問題に関する社会への啓発、広報
<特徴>
・空白地へのカード配布ができた
・他団体との連携により、子どもへの直接周知が実現した
<子どもたちへの周知をはかる>
カード・ポスターの配布
■カード:10万枚配布(4月、9月、10月、1月)
■ポスター:50枚掲示
*配布協力(順不同)
春日市教育委員会・大野城市教育委員会・筑紫野市教育委員会・前原市教育委員会・飯塚市教育委員会・田川市教育委員会・直方市教育委員会・古賀市教育委員会・福津市教育委員会(管轄の小中学校へカード・ポスター配布)
子どもNPOセンター福岡(ネットワーク団体へカード・ポスター配布)
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<社会的支援を広げる>
@第3回チャイルドライン「夢メッセージ展」
(第8回市民フォーラム「子どもにやさしいまちづくり」共催)
■時期:2009年12月5日〜6日(2日間)
■場所:福岡市婦人会館 あいれふ
■来場数:244名
A講演活動他
Bホームページ、ニュースレターの発行
●子どもの問題に関する諸機関との連携、交流及び共同研究
<特徴>
市民フォーラムや子どもの虐待防止キャンペーンなどを通じて、子どもに関わるネットワークが広がり、子どもの問題への共通の取り組みがすすんだ
@全国支援センター
◎商標登録について
支援センターとの間で交わしている、チャイルドラインの商標登録が2年に一度の切り替えとなり、12月の第2回理事会において、引き続き商標使用に同意することを承認した。
◎CL第2回全国研修担当者会議
■時期:2009年7月20日
■会場:日本アムウェイ合同会社オーディトリウム(東京)
■参加:74名(もしもしキモチから1名参加)
◎CL第6回全国フォーラム
■時期:2009年11月21日〜22日
■会場:千葉県幕張OVTA(海外職業訓練協会)
■参加:延べ1,021名(もしもしキモチから4名参加)
A九州のチャイルドライン エリア会議・エリア研修
第1回
■時期:2009年9月26日〜27日
■会場:福岡市早良市民センター他
■参加:17名・7団体(もしもしキモチから3名参加)
第2回
■時期:2010年1月24日
■会場:福岡市アーバンオフィス天神
■参加:7名・5団体(もしもしキモチから2名参加)
B子どもの虐待防止キャンペーン
■時期:2009年11月1日
■場所:三越ライオン広場周辺(福岡市天神)
■参加:60名・9団体(もしもしキモチから8名参加)
C「子どもにやさしいまちづくり」ネットワークへの参加
第8回市民フォーラム「子どもにやさしいまちづくり」
■時期:2009年12月5日〜6日
■場所:福岡市婦人会館 あいれふ
■参加:244名
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